eスポーツをプログラムに取り入れたのは児童のプレゼンが決め手

eスポーツのためのプレゼン

ASISでは、SSTの一環として、eスポーツをプログラムに取り入れています。

実は、eスポーツは保護者からのニーズも多いプログラム。参加する児童も多いので、自然と他の子どもたちとの関わりも増え、 その結果、いろいろなところに相乗効果が出てきています。

今回は、ASISにeスポーツを取り入れることになったきっかけをご紹介します。

eスポーツとは

eスポーツは、まだまだ日本では認知度が低く、よくわかっていないという方も多いでしょう。

「eスポーツ」とは、「エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)」の略。パソコンやゲーム機、スマホなどのデジタルゲームでの対戦を、スポーツ競技として捉えたものです。

一人ではなくみんなでゲームを楽しみ、競技として成り立てば、それはeスポーツとなります。
格闘ゲームのように対戦して勝ち負けを競うものもありますし、タイムやスコアで勝敗を決めるものも含まれます。

よく知られているものでいうと、マリオカート、マリオパーティー、ストリートファイター、大乱闘スマッシュブラザーズ、FIFA、ウイニングイレブン、実況パワフルプロ野球、ぷよぷよ、テトリスなどもeスポーツの競技となります。

eスポーツマリオカート

どれも、子どもたちが家でやっているものですよね。

そもそもゲームは考える力や想像力を養うもの

ゲームばかりしている子どもを心配する親は多いですが、そもそもゲームは、考える力や想像力を養うものです。

実はこれは、ASISの職員もみな同じ考えです。

「ゲームはどんどんやった方がいい」

こう聞くと、いやいやいや… と思ってしまうかもしれませんね。

では、もしあなたの子どもが夢中になっているのが、将棋ならどうでしょうか。毎晩遅くまで将棋の練習をする子どもに対して、ゲームほど否定的にはならないのでは?

よく考えると、将棋はよくて、ゲームはだめというのもおかしな話ですね。

お笑いタレントの小藪一豊は、将来絶対に役に立つから将棋は覚えておけと言われ、必死に取り組んだそう。そのおかげで、偉いさんと将棋で盛り上がり、上方に気に入られ座長になれたというエピソードがあります。

これからの世代は、ゲームの攻略方法を知っている方が、会社の上司と話が盛り上がることは間違いありません。

となると、ゲームを極めることは、子どもの出世につながることにもなりますよ。

中学生の児童から、ASISのみんなでゲームがしたいという提案があった

上記のように、職員の間では、もともとeスポーツをやっていきたいという話は出ていました。そんな時に、 ある児童から「ASISでみんなでゲームをしたい」という提案がありました。

「じゃあ、代表にプレゼンテーションをして、任天堂スイッチを買ってもらおう!!!」

これが始まりです。

3人のメンバーでスタート!

そこからなんだかんだで3人の児童が集まり、何日かかけてプレゼンテーションの内容を練り始めました。メンバーは、中学生2人、高校生1人。

言い出しっぺの中学生は、普段から情報収集力が高く、会話のスキルも高い子です。どんどんプレゼンの内容をつめていきます。

もう一人は、そもそもゲームにはあまり興味がなかった子ですが、すでに一度ASISでプレゼンをし、ボードゲームをGETした実績があります。

PowerPointでサクサクと資料を作っていきます。

もう一人は、ゆる~い感じのムードメーカーの子。それまであまり話したことがなかったメンバーにもさりげなく声をかけ、いい雰囲気を作ってくれます。プレゼンの話が出た時に、「やりたい!」と言ってくれたのも嬉しかったですね。

自然とこのような3人が集まり、プレゼン資料作成がスタートしました。

プレゼンテーション【第1回目】

ある程度まとまったところで、第1回目のプレゼンをしたいということになりました。

本来なら、プレゼンのチャンスは1回きりですが、 任天堂スイッチは、ソフトやプラスのコントローラーを合わせると総額4万円ほど。そうそうたやすくOKを出すわけにもいきませんが、それで失敗となるのもかわいそうです。

そこで、何回かはチャレンジOKということにしました。

プレゼンの相手は、代表の松塚です。

もともとゲームにあまり興味はなく、息子が小さいときは「いいかげんにゲームやめときや」と口癖のように言っていたような母親でした。

プレステやWiiをかろうじて知っているというレベルで、スマホゲームもほとんどしません。

そんな代表を相手に、「緊張する~」と言いつつ、プレゼンテーターの児童ががんばりました。

 

児童
僕たちは、ASISに任天堂スイッチを購入してほしいと思っています!
代表
そうなんやね。で、スイッチってどんなんやったけ?

児童
うわ~。。。そこからか~。。。

 

スタートは、こんな感じでした。

相手である代表がどんな人物か、あまり研究していなかったことに気付いたようです(笑)。

それでもめげずに、作り上げた資料を最後まで読み上げてくれました。

1回目の総評は以下のようなものでした。

  • 全体に長い。(代表はあまり長い話は苦手)
  • 写真が少ないのでイメージしにくい
  • 文字が小さいのでインパクトが弱い

 

かなりよくできてはいたのですが 、初回なので厳しめの判定です。それでも、「70%くらいはいけてるよ」という評価でしたので、再度作りなおしです。

プレゼンテーション【第2回目】

2回目のプレゼンをするまでには、結構時間がかかりました。

というのも、ASISに来る中学生・高校生は、決まった曜日に来るわけではなく、1ヶ月に数回しか来ない子もいます。

3人が同じ時間に集まる日が少なく、さらに遅刻したり体調を崩して休むこともあり、なかなか3人集まって進めることができませんでした。

そうなると、自分でできることはやっておく、という流れが自然にできます。

前回のプレゼンから「ASISのみんなにどんなゲームをやっているか、アンケートを取ろう」という話も出て、独自でアンケート作りを進めたりもしました。

そしていよいよ、プレゼンテーション2回目。

前回のプレゼンテーターの児童がなかなか時間が取れず、他の児童にバトンタッチしてのプレゼンでしたが、みんなが作り上げたプレゼンテーションは、なかなか見事なものでした!

プレゼンをやって得られたもの

今回の最終プレゼンでは、かなり代表のことやASISのみんなのことが考えられていました。

  • 代表やASISの職員は、みんなにどうなってほしいと思っているのか
  • ゲームをするメリットとデメリット
  • 予測されるトラブル
  • トラブルへの対応

プレゼンを成功させるためには、相手となる代表のことを研究しておかないといけません。

考えられる問題をどのように解決できるかも、考えておかなくてはいけません。

代表がどういったところに疑問点を持つのかも、予測しておかないといけません。

いろいろなことを想定し、考え、解決策を見出す。

こういった力が、今回のプレゼンでぐっと高まったのではないでしょうか。

2回目のプレゼンでは、気になることが出てくると、すぐにそれに対しての対策やためになる情報も紹介され、思わず「おぉ~」とうなるシーンもありました。

こんな素晴らしい才能をもった児童たちがいる。

これは絶対に大切にしたい!

そう強く思わされ、それだけでなんとも言えない嬉しさがこみあげてきます。

ASISに本格的にeスポーツ導入!

任天堂スイッチ

このようにして、ASISは任天堂スイッチを購入し、eスポーツが プログラムに 本格的に導入されました。

今では主に土曜日を中心に、2時間の枠を設け、eスポーツを行っています。平日に時々1時間。

時間やルールについては、児童たちで話し合い、いろいろ改善していく予定です。また、新しいソフトが欲しいという声もちらほら出てきています。

そうなると、「俺もプレゼンするわ」という子も出てきます。
そのたびに、スイッチを購入した経緯を話して、今回のプレゼンの資料を見てもらいます。

「こんなの作ったのか~」と驚く子もいますし、内容を見て尻込みをしてしまう児童もいます。

それでも、そこから「自分もやってみよう!」という気持ちにつながることを期待しています。

その気持ちが生まれるよう、私たち職員は全力でサポートします!