ある日、SSTのしゃべくりの時間に「eスポーツが日本で流行らないのはなぜか」という議題で話し合いました。
(SSTのしゃべくりとは、いろいろな話題をみんなで自由に話し合う、ディベート形式のASIS独自プログラムです。)
そこから、思わぬ方向に話が進みましたので、今回はその様子をご紹介!
目次
eスポーツが日本で流行らないのはなぜか
eスポーツについては以下の記事で詳しく説明されています。
eスポーツが日本で流行らないのは、ゲーム会社の権利の問題などもあるようですね。ただ、そこは私たちにとっては今はどうにもできないところです。
それ以外のところで、どうして日本ではeスポーツが流行らないのかを考えてみました。
(ちなみに、ASISでeスポーツを取り入れた経緯はこちらです↓)
有名な選手がいない
好きなeスポーツ選手は?と尋ねられて、すぐに名前が出てきますか?かろうじて出てくるとしたら、梅原大吾くらいでしょうか。
プロ野球選手やサッカー選手と比べると、有名な選手がまだいないというのはとても寂しい現状です。
これからもっと人気のある選手が出てきたら、「将来なりたい職業」にeスポーツもあがってくるかもしれません。
観戦が盛り上がらない
ドームでの野球観戦や、スタジアムでのサッカーやラグビー観戦と違い、 日本では、eスポーツはまだまだネット上で見るにとどまっています。
これが海外となると、大規模なスタジアムで試合が行われ、巨大スクリーンで多くの人が観戦し、大いに盛り上がります。
こういった観戦スタイルがないのも、日本でeスポーツが流行らない1つの原因でしょう。
せめて将棋の対戦くらいには、大々的に取り上げてほしいところです。
選手のマナーが悪い?
eスポーツは歴史が浅く、選手に対し、スポーツマンシップの教育ができていないという話をよく聞きます。
試合観戦もまだ盛り上がりにかけていますので、「これから育つ子どもたちのために、礼儀やマナーのお手本になろう」という意識の選手も少ないでしょう。
ただ、ちょっとした振る舞いやマナーの悪さばかりが目立っている気もします。見る側が、まだまだゲームの延長というとらえ方をしているせいもあるからかもしれません。
現在ではeスポーツ選手の教育に力を入れていこうという取り組みがスタートしているようです。これからが楽しみですね。
ゲーム中のマナーをよくするためにはどうしたらいいか
以上のような話が出たのですが、ここまで話したとき、子どもたちからゲーム中のマナーについて意見が出てきました。
- 分かっているけど、どうしても汚い言葉が出てしまう
- イラっとしたら、コントローラーを投げてしまうこともある
- 冗談で出た言葉は、そこまで気にする方がおかしい
- 笑われたから、次はその子としたくないと思った
白熱してくると、自分をコントロールすることができない子も多いです。そこでそのことについて、少し話し合いました。
(トリセツとは、ASISで行っている「自分の取り扱い説明書を作る」というプログラムです。)
要は、自分がやってしまうことを、あらかじめ伝えておく。その時にどうしてほしいかも分かっておいてもらいたい。そうすると、トラブルも少なくなるだろうということです。
このような流れが、自然と子どもたちの間でできていきました。
私たちが決めるのは簡単です。それよりも、自分たちで考えて決めたことは心にも残りやすいですし、何より責任をもって進めていけます。
自分たちで考え、責任をもって行動する
ASISで今大事にしているのは、上のような「じゃあ、どうする?」という声かけです。
一緒に過ごしていく中で、自然と他の児童の特性は分かってきます。トリセツの時間に、お互いに得意なことや苦手なことを発表しあい、理解していくこともあります。
それらを受け入れ、そのあとどう関わっていけばいいのかを、自分たちなりに考えてほしいと思っています。
また、自分はどうしてほしいのかも考える。
私たちは、その考えにアドバイスを入れ、よりよい環境を作っていきたいと思っています。
eスポーツを取り入れたメリット
ASISでeスポーツを取り入れてみてよかった点は、以下のようなことです。
外に出る原動力になる
友だちとゲームをしたことがない、という子どもは多いです。同年代の友達とゲームができるということで、少しずつ利用の回数が増えてきた子もいます。
そもそもゲームが嫌いという子どもは、あまりいないですよね。好きなことを楽しくできる。その気持ちが心にエネルギーをためていきます。
そして、家から外にでる原動力にもつながります。
他の子どもの性格や特性が分かりやすい
ゲームをしていると、みんなよく笑いますし、表情は生き生きとしてきます。こんな風に友達への気配りや応援、声掛けができるんだという気づきも多いです。
反対に、普段は使わない悪い言葉や表現、態度が 突発的に 出てしまうこともあります。
そういった言動は、普段のプログラムではなかなかわかりづらいことも多いです。子どもたち同士、お互いがその性格や特性に気付きやすくなるのも、ゲームのいいところでもあります。
リアルタイムにSSTができる
上記のような言動が出たら、その場ですぐに話し合います。もちろん「今日はSSTの一環としてeスポーツをしているから」という前提で話し合いを行います。
「興奮してしまった子は、落ち着くまで1分間のタイムアウト」など、初回は職員が厳しめのルールを決めていましたが、基本的にルールは子どもたちで決めていきます。
そうやって、自分たちで話し合い、どうすればみんなが気持ちよく楽しめるかを考えていけるのも、eスポーツのメリットです。
まとめ
eスポーツは、だれかと何かを競い合うという、いわゆる 野球やサッカー、卓球などと同じスポーツです。
勝つためにどうすればいいか考えないといけないですし、そのために練習もします。ただ、それが家でもできるという手軽さがあります。
子どもたちが楽しんでできる一番身近なゲームというものを、もっとうまく取り入れ、eスポーツそのものが日本でも流行るようになってほしいと思います。